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私の最後の利用者さん(仮名Sさん)のお話です。
 (長いので2回に分けます) 

Sさんは、筋力の病気で下半身不随の為、車椅子生活をされている61歳の独居男性でした。

若い頃に離婚されて息子さんが一人いるらしいのですが、会うことはほとんどないそうです。

私は週3回で1回3時間で請けました。

ほぼ毎日介護が必要な方なので、他の曜日は私以外のヘルパーが訪問していました。


Sさん宅に初めて訪問した日は、暑い夏の盛りでした。

61歳と聞いていましたが、そんな風には見えず50台前半くらいに感じました。

その時は下半身不随だけでしたが、段々と上半身も動きづらくなってきて最終的には、全身不随で寝たきりになってしまうという難病の方でした。

そして手の方も段々と動かしづらくなってきているようでした。


最初の訪問はいつも緊張しますが、大抵独居男性の場合は、利用者さんの方が気を使ってくれます。

初日は、挨拶と今後やることの確認です。

掃除、洗濯、調理、買物、ベッドメイク、入浴介助、移動、など。

ほぼ全ての家事と身体介助です。

これを全部 3時間でするのは大変なので、曜日を決めて、スケジュールを作っていきました。

Sさんはパソコンが得意でしたので不自由な手で器用にデータを作っていきました。

インターネットができる環境なので、情報もいろいろ入り、頭の方は大分しっかりされていました。

ただその『情報が入る』というのも考え物で、ネット上には、いい情報も悪い情報も、真実も嘘もごろごろしています。

それを判断するのは、私たち個人です。

 
そしてSさんと今後のスケジュールを確認した後、洗濯をして、今日は話し相手になって欲しいと言われ、いろいろお話しをしました。

離婚されたこと、息子さんのこと、元奥様のこと、彼女さんのこと、仕事のこと、病気のことなど、Sさんはご自身のことを色々教えてくれました。

そして時間がきて帰る時に、Sさんはこう言いました。

『できる料理のレパートリーを次回までに紙に書いてもって来て欲しい』と。

私は快諾し、家で、得意料理のメニューを書き出しました。

とは言っても、私は普通のシングルマザーなので、フランス料理とか、イタリアンとか、いわゆる名前のついたお洒落な料理ではなく、スーパーで安い食材を先に買って、あるもので作る家庭料理ばかりです。

そして次にSさん宅に訪問した時に紙を渡すと、今度はその料理の内容をみて、1週間分の献立を作り始めました。

とにかく、なんでも計画的な方でした。

洗濯は週1回、掃除は週2回、入浴は週3回、ベッドメイク、調理は毎日。

週3回の入浴は私が伺う日になりました。

なので私の主な仕事は、入浴、調理、ベッドメイク、週1で買物でした。

伺うとまず料理をします。

料理は当日のお昼と夜と翌朝の分で3食分。

献立はSさんが決めたものを作ります。

次は入浴です。

車椅子で脱衣所まで移動し、脱衣所で服を脱がせます。

そしてSさんを抱えて、お風呂の介護用の椅子に座らせます。 

私は自分の服がぬれないように、短パンとTシャツで介助します。

入浴は着替え、移動なども含め、1時間かかります。

そして、ベッドメイクしてお話しして終了。

こんな感じで1週間(3回)通いました。


そして翌週。

Sさんはこう言いました。

『他のヘルパーと変わって、来週から毎日来て欲しい。』

どうやら他の曜日のヘルパーは料理が苦手らしく、3食分作らせても美味しくなくて、完食できなかったそうです。

私は別の利用者さんも訪問していたので、毎日は無理だと思いましたが、Sさんが事務所に交渉してくれて私が土日以外の毎日週5回で訪問するようになりました。

介護度が高く、身体介護の多いSさんは、時給が高いのです。

シングルマザーの私にとっておいしい仕事でしたので、正直、ラッキー!と思いました。

私にとって介護の仕事は、奉仕の心というよりは、自分の生活の為でした。

今思えば訪問介護にやりがいを感じることもありませんでした。

介護する相手はお金の為で、利用者さんはヘルパーを家政婦扱いです。

お互い様の関係です。

でもそれでうまくいくならそれでもいいのですが、利用者さんがヘルパーに無理難題を言ってくることも多々あります。

それをうまく断れるかどうかがヘルパーの腕の見せ所なのですが、私はそれが下手でした。


そしてSさんも、無理なことを頼んでくるようになりました。

髪の毛を切って欲しい、とか爪を切って欲しいとか、湿布を張って欲しいとか、歯磨きを手伝って欲しいとか、軟膏塗って欲しいとか。

大したことではありませんが、ヘルパーがやってはいけない事柄なのです。
(当時はダメでしたが、平成17年に解禁されています)

換気扇の掃除や風呂釜の掃除やおせち料理なども、日常の家事ではないので、ヘルパーはできません。

それをするには、ケアマネに相談して利用者さんが業者に頼んだり、福祉課の方で手配するとか、色々決め事があります。(今はどうかわかりません) 

ただそれを断ると機嫌が悪くなる方もいるので大変です。

Sさんはインターネットで情報が手に入るので、爪きり、湿布、軟膏、などはグレーゾーンで、やっている介護事務所もある、だからやって欲しい、と言ってきました。

事務所に確認すると、『うーん、まあ利用者さんに言われたことはなるべくやってあげて』というので、やることになりました。

事務所にとってもSさんは大きな財源だったようです。


すると、どんどんSさんの要求がエスカレートしてきたのです。

100均で散髪バサミを買ってきて、髪を切れ、とか。

うまくカットできないと悪いのでやめた方がいいと思う、と断っても、下手でもいいから切って、というので切りました。

しかも、切れ味の悪い100均のはさみでシャキシャキ切れる訳もなく、失敗しないようにゆっくり切ってると、早く終わらせて、とか、鏡を見ながら、こっちが長い、あっちも切れとか、もう勝手ばかりです。

結果ガタガタになりました。

それはそうです、100均の散髪バサミなんかで10分以内で切るなんて、多分、美容師さんでも無理です。

ただ、Sさん宅の訪問は時給がよく毎日確実に3時間入れる利用者さんだったので、私なりに色々頑張ってやりました。

その甲斐あってか、Sさんに気に入られました。

そして前回の利用者さんもそうでしたが、身体介護が多いと独居男性は勘違いやセクハラをするのです。

これはもう若い女性ヘルパーの全国共通の問題です。


そしてSさんも例外ではありませんでした。



つづく。 

※次回はかなり直接的な表現がありますので、その辺もふまえて読まれてください。
 

★ヘルパー実話★

【実話】女性ヘルパーの介護はセクハラの巣窟〜その1
【実話】女性ヘルパーの介護はセクハラの巣窟〜その2
【実話】女性ヘルパーの介護はセクハラの巣窟〜その3(前半)
【実話】女性ヘルパーの介護はセクハラの巣窟〜その3(後半)

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